売上を上げてはいけない矛盾した”コロナ”マーケティング

この話、日本では当てはまらないかもしれませんが、コロナ対策で従業員の給料をある程度保証してくれたオーストラリアならではの悩みを書きます。

 

ロックダウンが解除され、レストランではソーシャルディスタンスを保ってでの店内飲食が可能になりました。

 

7月からは人数制限もなくなり、イベントもちらほら始まってきています。より一層人が外に出る予想がされますが、

これはシドニーのNSW州での話。

 

オーストラリア第2の大都市メルボルンのVIC(ビクトリア)州では、コロナ感染者が増大したため、

シドニーとは真逆に再度のロックダウンが始まりました。レストランもケータリング・テイクアウトのみになってしまいました。

 

オーストラリアの同じ国内でも、このように雲泥の差があるのですが、

その拡大を恐れてか、今週7月第1週目はシドニー市民も外出を控えているように感じます。

 

まだまだ、コロナとの戦い(お付き合い?)は続きそうですが、

飲食店に限らず、他業種においてもこのコロナパンデミックは過去に事例がないだけに、どのように対策をすればよいのかわからないです。

 

だれも正解はわかりません。

 

もしかしたら、そっくりそのままコロナ前と同じように戻すのも正解かもしれませんが、

一つ言えるのは、その業態によって、いえ、同じ業態でも各ビジネス一つ一つでマーケティングが異なってくるということです。

 

これはコロナ前も後も変わりません。

 

大雑把に、ある一方向の正解に近い形はあるでしょうが、

(例えばビジネスの効率化をするとかは大体のビジネスが当てはまるのでした方が良い等)

ビジネス一つ一つ見れば、それぞれに強みや客層も変わってくるので、「これ」というのは一概に言えないでしょう。

 

そのことも踏まえた上で、私の例をお話します。

 

コロナにより初体験:矛盾したマーケティング!?

レストラン店内飲食が始まり、徐々に規制緩和され、かなりコロナ前に近い状態でビジネスができるようになりました。

 

しかし、オペレーションは効率化、縮小をして、メニューも絞り、基本コース限定、スタッフも半分近くで回すようにシステムを変えました。営業日や時間も変更しました(縮小)

 

このスタイルで、結果は今のところうまくいっています。

 

とは言っても、前年対比すると全然悪いです。

これはどの店も同じで、コロナによって持ち帰りやケータリングで爆発的に売上を伸ばしている店以外は売り上げは悪くなっています。

 

その中でも、私の店はうまくいっている方です。

 

少しずつですが順調に売上も伸びてきて、

上手くいけば前年同月比でかなり近い売上を出せるのではないかと思っていた矢先に、今までなかった、ある壁に当たりました。

 

それは、(これがオーストラリア特有かもしれませんが)

オーストラリアが人件費を保証してくれる条件は、

前年比と比べて30%以上売上が落ちていた場合です。

 

さて、これはマズイ。

 

どういうことかというと、

 

例えば前年の7月の売上が100万円だったとします。

すると、今月(今年7月)の売上を70万円以下に抑えなければ、政府からの保障が受け取れなくなり、人件費全て会社から払わなければならないのです。

 

これ、意外と大きい問題で、

例えば、6月の場合、それら人件費の保証があったため(全額ではないですが)になんとか利益を出すことができました。

しかし、もし7月に売上が71万円だとしたら、

政府から保証はされずに、利益で考えるとマイナスになってしまいます。

 

かといって前年同月を大きく上回る売上を作ることも容易ではありません。(かなり難しいでしょう)

 

、、、という問題が一つ。

 

そして、キャッシュの問題

 

飲食店を経営している人でなくても、なんとなくわかると思いますが、

お客さんが現金で支払いをした場合、

そのお金は、変な話、売上に計上してもしなくても、それはバレません。(かなりグレーな話をしています)

 

なので、大体の飲食店は表に出す売り上げは最小限にして申請します。

なぜなら、余計な税金がかかるから。

 

この記事を税務署の人に読まれたら、本気で怒られそうですが、現状だいたいの店がそうだと思います。

 

という飲食店の実情を認識したうえで、

 

コロナ後のお客さんの支払いは、、、というと、

 

ほぼ(95%くらい)カード払いです。(ここも日本と大きく違う所かもしれませんね)

 

この状況はさらにやばい。

 

仮に今まで70%くらいのお客さんがカード支払いだったと考えると、

 

コロナ前(前年)の売上が100万円で、30万円分は現金のため、表に計上しなかったとします。

 

すると、申請していた売り上げは70万円

 

つまり、

今月(今年7月)の売上が仮に70万円だとしたら、今までなら現金が30%なので約50万円の売り上げとして計上できる。

つまり前年と比べても30%以上の売り上げダウンとして見せることができる。(つまり人件費の保障が受け取れる)

 

なのに!

 

今はほとんどカードなので、70万円の売上の内65万円以上は表に立てて申請することになります。

(カード支払いの場合は、ごまかしがききません)

 

ということは、

 

「よし、お店を繁盛させよう!!」と意気込んで頑張っても、

めちゃめちゃ忙しくなって売上を上げない限り、

中途半端に前年に近い売り上げになってしまったら、利益が少なくなるのです。(政府の保障金がなくなるため)

 

つまり、マーケティングをメチャクチャ頑張って、集客して売上が上げても逆に良くない。

 

という矛盾した出来事が起こります。

 

しかも隣の都市はロックダウンしているので、いつその波が押し寄せてきてもおかしくない状況、、、

 

これに気付いたとき、

すごく微妙な気持ちになり、思わず笑ってしまいました。

 

と同時に若干肩の力が抜けたのですが、

 

実際の話、

例え頑張ったとしても、それによって結果が100%付いてくるわけではないので、

個人的には変わらず(ほぼ)全力でこれからもマーケティングも含め、店を切り盛りしていこうと思っています。

 

以上、

 

このような通常ではありえない、

コロナが発生したからこそ起こった矛盾した悩みでした。